#04 証券外務員1種・2種試験対策:会社の計算について
証券外務員として必要な知識の一つに、会社の計算に関する理解があります。今回は、会社の計算に関連する重要な書類や手続きについて詳しく解説します。
1. 会社の計算に関する主要書類
賃借対照表
賃借対照表(バランスシート)は、会社の財務状況を示す重要な書類です。資産、負債、純資産を詳細に記載し、会社の財務健全性を評価するために使用されます。
損益計算書
損益計算書は、一定期間の会社の収益と費用をまとめた書類です。これにより、会社の経営成績が把握できます。
事業報告
事業報告は、会社の業績や活動内容を株主に報告するための書類です。定時株主総会で報告されます。
株主資本等変動計算書
株主資本等変動計算書は、一定期間における株主資本の変動を示す書類です。これにより、資本の変動状況を把握できます。
個別注記表
個別注記表は、財務諸表の補足情報を提供する書類です。詳細な注記を通じて、財務状況の理解を助けます。
付属明細書
付属明細書は、財務諸表の各項目に関する詳細情報を提供する書類です。これにより、財務諸表の各項目の内訳を明確にします。
2. 監査と承認プロセス
監査機関の監査
これらの書類は、まず監査機関による監査を受ける必要があります。監査機関は、書類が適正に作成されているかを確認します。
取締役会の承認
監査後、取締役会の承認を得ます。承認された書類は、定時株主総会に提出されます。
定時株主総会での承認
計算書類は定時株主総会で承認されます。事業報告については、報告するのみです。会計監査人と監査機関が適法と認めた場合、報告だけで足ります。
公告
定時株主総会後、賃借対照表を公告する義務があります。公告により、株主や投資家に対して財務状況を公開します。
3. 法定準備金
資本準備金と利益準備金
法定準備金は、資本準備金と利益準備金から構成されます。利益準備金は、配当などから余剰金が支出されるたびに1/10以上を積み立てる必要があります。ただし、資本準備金と利益準備金の合計が資本金の1/4に達した後は積み立てる必要はありません。
法定準備金の減少
法定準備金を減少させる場合は、特別決議が必要です。ただし、欠損の穴埋めだけであれば普通決議で足ります。
4. 余剰資金の配当
配当の財源
配当は、余剰金がある場合にのみ行われます。分配可能額は、賃借対照表の資産の額から負債を引いた純資産額に基づき、資本金と法定準備金その他を引いた額で決まります。
無効な配当
分配可能額がないのに行われた配当(たこ配当)は無効です。この場合、会社の債権者は株主に対して返還を要求できます。
配当の決定
配当の決定は、株主総会で決議されます。年に何度でも配当を行うことができます。定款に定めておけば、期央に1回、取締役会の決議で金銭配当を行うことができます(中間配当)。
5. 資本金の減少
特別決議が必要
資本金の減少は、特別決議が必要です。ただし、欠損の穴埋めだけであれば普通決議で足ります。
証券外務員1種・2種試験対策問題:会社の計算
以下に、上記ブログ内容に基づいた問題とその回答を提示します。これらの問題を解くことで、知識の定着を図りましょう。
問題1:会社の計算書類
次のうち、監査機関の監査を受けた後、取締役会の承認を必要としないものはどれか。
A. 賃借対照表
B. 損益計算書
C. 事業報告
D. 株主資本等変動計算書
解答と解説
解答: C. 事業報告
解説: 事業報告は定時株主総会で報告されるものであり、計算書類のように承認を必要としません。他の書類は監査機関の監査を受け、取締役会の承認を得た後に定時株主総会で承認されます。
問題2:法定準備金
次のうち、利益準備金について正しい記述はどれか。
A. 配当などから余剰金が支出されるたびに1/5以上を積み立てる
B. 資本準備金と利益準備金の合計が資本金の1/3に達した後は積み立てなくても良い
C. 資本準備金と利益準備金の合計が資本金の1/4に達した後は積み立てなくても良い
D. 利益準備金は配当からの余剰金を全額積み立てる
解答と解説
解答: C. 資本準備金と利益準備金の合計が資本金の1/4に達した後は積み立てなくても良い
解説: 法定準備金は、利益準備金と資本準備金から構成され、配当などから余剰金が支出されるたびに1/10以上を積み立てる必要があります。ただし、資本準備金と利益準備金の合計が資本金の1/4に達した後は積み立てる必要はありません。
問題3:配当の決定
次のうち、分配可能額がないのに行われた配当について正しい記述はどれか。
A. 無効であり、株主は返還を要求できる
B. 無効であり、会社債権者は株主に返還を要求できる
C. 有効であるが、次回の配当から差し引かれる
D. 有効であり、特別な処置は必要ない
解答と解説
解答: B. 無効であり、会社債権者は株主に返還を要求できる
解説: 分配可能額がないのに行われた配当(たこ配当)は無効です。この場合、会社の債権者は株主に対して返還を要求することができます。
問題4:資本金の減少
次のうち、資本金の減少に関する決議方法として正しいものはどれか。
A. 常に特別決議が必要
B. 欠損の穴埋めの場合は普通決議でよい
C. 常に普通決議が必要
D. 取締役会の決議で十分
解答と解説
解答: B. 欠損の穴埋めの場合は普通決議でよい
解説: 資本金の減少には通常、特別決議が必要ですが、欠損の穴埋めだけを目的とする場合には普通決議で十分です。
問題5:監査と承認プロセス
次のうち、定時株主総会後に公告する義務がある書類はどれか。
A. 損益計算書
B. 株主資本等変動計算書
C. 賃借対照表
D. 事業報告
解答と解説
解答: C. 賃借対照表
解説: 定時株主総会後、賃借対照表を公告する義務があります。これにより、株主や投資家に対して会社の財務状況を公開します。
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