証券外務員1種・2種試験対策:新株発行
授権資本制度
授権資本制度とは、会社が定款に定めた発行可能株式総数のうち、設立時にはその一部のみを発行すれば良い制度です。この制度の主なポイントは以下の通りです:
- 設立時の発行株数:会社を設立する際には、定款に定めた発行可能株式総数の1/4以上を発行すれば足りる。
- 臨時発行:取締役会の決議によって、臨時に新株を発行することができます。
新株発行の手続き
新株発行には、以下の手続きがあります:
- 株主配当
- 新株発行の際、株主に対して配当として新株が割り当てられることがあります。
- この場合、発行価格は時価よりもかなり低く設定されることが多いです。
- ライツ・オファリング
- 既存の株主に対して、新株を購入する権利(ライツ)を与え、その権利を行使して新株を発行します。
- 既存株主は優先的に新株を購入できるため、株主構成の維持が図られます。
- 公募(時価発行)
- 一般の投資家に対して、新株を時価で発行します。
- 多くの場合、企業の資金調達の手段として利用されます。
- 第三者割当
- 特定の第三者に対して、新株を発行します。
- この方法は、戦略的パートナーシップや特定の投資家からの資金調達の際に用いられます。
新株発行の決議と手続き
- 発行決議
- 新株発行には、取締役会や株主総会の決議が必要です。
- 発行の目的や条件を明確にし、適切な手続きを経て決定されます。
- 開示・割当
- 新株発行の決議後、発行条件や割当方法などの詳細を適切に開示する必要があります。
- 発行価格や割当先、割当方法などを公表し、透明性を確保します。
- 効力発生
- 新株発行の効力は、払込期日から発生し、新たな株主が確定します。
- 払込期日後、株主名簿に登録され、新株主としての権利が発生します。
新株予約権
新株予約権とは、一定の条件のもとで将来新株を取得できる権利のことです。新株予約権者がその権利を行使すると、以下の手続きが発生します:
- 新株発行:新株予約権者が権利を行使した場合、会社は新たに株式を発行します。
- 自己株式の移転:会社が自己株式を保有している場合、これを新株予約権者に移転することも可能です。
新株発行に関する手続きと注意点を理解することは、証券外務員としての重要なスキルです。これらの知識を身につけることで、顧客に対して適切なアドバイスを行い、信頼関係を築くことができます。試験対策として、各手続きの詳細をしっかりと理解し、実際の業務に役立ててください。
問題1:授権資本制度
授権資本制度において、会社設立時に発行しなければならない株式数は定款に定めた発行可能株式総数のどれくらいか。
A. 1/2以上
B. 1/3以上
C. 1/4以上
D. 1/5以上
解答と解説
解答: C. 1/4以上
解説: 授権資本制度では、会社設立時に定款に定めた発行可能株式総数の1/4以上を発行すれば足りるとされています。
問題2:新株発行の手続き
新株発行において、既存の株主に対して新株を購入する権利を与える手法はどれか。
A. 株主配当
B. ライツ・オファリング
C. 公募
D. 第三者割当
解答と解説
解答: B. ライツ・オファリング
解説: ライツ・オファリングは、既存の株主に対して新株を購入する権利(ライツ)を与える手法で、株主構成の維持が図られます。
問題3:新株発行の決議
新株発行には、どのような決議が必要か。
A. 取締役会や株主総会の決議
B. 株主総会の決議のみ
C. 取締役会の決議のみ
D. 監査役の承認のみ
解答と解説
解答: A. 取締役会や株主総会の決議
解説: 新株発行には、取締役会や株主総会の決議が必要です。発行の目的や条件を明確にし、適切な手続きを経て決定されます。
問題4:新株予約権
新株予約権者がその権利を行使した場合、次のうち発生する手続きはどれか。
A. 自己株式の移転
B. 株主総会の開催
C. 新株発行
D. 配当の決定
解答と解説
解答: C. 新株発行
解説: 新株予約権者がその権利を行使すると、会社は新たに株式を発行します。自己株式の移転も可能ですが、まずは新株発行が主な手続きです。
問題5:新株発行の方法
次のうち、特定の第三者に対して新株を発行する手法はどれか。
A. 株主配当
B. ライツ・オファリング
C. 公募
D. 第三者割当
解答と解説
解答: D. 第三者割当
解説: 第三者割当は、特定の第三者に対して新株を発行する手法であり、戦略的パートナーシップや特定の投資家からの資金調達の際に用いられます。
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