#08 証券外務員1種・2種試験対策 財務諸表と企業分析 負債の部
負債の部
負債の部は、企業が返済義務を負っている債務を示す部分です。負債は流動負債と固定負債に分類され、それぞれの特徴を理解することが重要です。
流動負債
流動負債は、1年以内に返済期の到来する債務です。具体的には以下のような項目が含まれます:
- 短期金銭債務:支払手形、買掛金
- 短期性引当金
- その他の流動負債
固定負債
固定負債は、1年を超える返済期間を持つ債務です。具体的には以下のような項目が含まれます:
- 長期金銭債務
- 長期性引当金:退職給付に係る負債
- その他の固定負債
支払手形とは
支払手形とは、企業が商品やサービスの代金として支払う約束手形のことです。これにより、一定期間後に代金が支払われることが保証されます。
買掛金とは
買掛金とは、商品やサービスを購入した際に、後日支払うことを約束した未払い代金のことです。通常、仕入れ先に対して負う短期的な負債です。
返品調整引当金とは
返品調整引当金とは、将来の返品に備えてあらかじめ計上しておく引当金のことです。これにより、返品が発生した際の影響を財務上で調整できます。
純資産の部
純資産の部は、企業の資本構造を示す部分です。株式資本や自己資本、その他の資本項目から構成されます。
株式資本
株式資本は、以下のような項目から構成されます:
- 資本金
- 資本余剰金:株式の発行価額の1/2を資本準備金とすることができます。
- 利益余剰金:利益準備金と資本準備金の合計(法定準備金)が資本金の1/4に達するまで、配当金の1/10以上を資本準備金と利益準備金として積み立てなければなりません。
株式引受権とは
株式引受権とは、取締役や執行役の報酬として株式を無償交付される権利のことです。
新株予約権とは
新株予約権とは、株式を一定の条件で取得できる権利です。これにより、将来の株式取得を保証することができます。
非支配株主持分とは
非支配株主持分とは、連結子会社の資本のうち、連結財務諸表作成会社である親会社に帰属しない部分を指します。
自己資本
自己資本は、企業が自己資金で運営する部分を示し、純資産に含まれます。
損益計算書(PL)
損益計算書は、一定期間における収益と費用を対応表示することによって、企業の経営成績を明らかにする報告書です。
損益計算書の構造
営業損益計算
- 売上高 – 売上原価(仕入) = 売上純利益(粗利益)
- 販売費および一般管理費を差し引いたものが営業利益
経営損益計算
- 営業外収益 – 営業外費用 = 経常利益
純損益計算
- 特別利益 – 特別損失 = 税引前当期純利益
- そこから法人税・住民税および事業税を引いたものが当期純利益
用語の説明
- 販売費および一般管理費:人件費、賃借料など
- 営業外収益:受取利息、受取配当金など
- 営業外費用:支払利息など
- 特別利益:土地や不動産の売却益など
- 特別損失:土地や不動産の売却損など
重要な利益概念
- 売上総利益:売上高から売上原価を引いた粗利益
- 営業利益:売上総利益から販売活動や一般管理費を差し引いた利益
- 経常利益:営業外収益 – 営業外費用
- 当期純利益:特別利益 – 特別損失
まとめ
財務諸表の理解は企業分析において不可欠です。負債の部と純資産の部の詳細を把握し、損益計算書の構造を理解することで、企業の財務状況や経営成績を正確に評価することができます。証券外務員として、この知識を基に顧客に対して適切なアドバイスを提供し、信頼関係を築いていきましょう。
問題1:流動負債の内容
流動負債に含まれないものはどれか。
A. 支払手形
B. 買掛金
C. 退職給付に係る負債
D. 短期性引当金
解答と解説
解答: C. 退職給付に係る負債
解説: 退職給付に係る負債は固定負債に該当します。流動負債には支払手形、買掛金、短期性引当金などが含まれます。
問題2:固定負債の内容
固定負債に含まれるものはどれか。
A. 支払手形
B. 買掛金
C. 長期金銭債務
D. 短期性引当金
解答と解説
解答: C. 長期金銭債務
解説: 固定負債には、長期金銭債務や退職給付に係る負債などが含まれます。支払手形や買掛金は流動負債に該当します。
問題3:支払手形
支払手形に関する正しい記述はどれか。
A. 企業が将来の支払いを約束する手形
B. 企業が受け取る約束手形
C. 企業の長期的な負債
D. 企業の純資産
解答と解説
解答: A. 企業が将来の支払いを約束する手形
解説: 支払手形は、企業が商品やサービスの代金として将来の支払いを約束する手形です。これにより、一定期間後に代金が支払われることが保証されます。
問題4:買掛金
買掛金に関する正しい記述はどれか。
A. 企業が将来の支払いを約束する手形
B. 企業が商品やサービスを購入した際に、後日支払うことを約束した未払い代金
C. 企業の長期的な負債
D. 企業の純資産
解答と解説
解答: B. 企業が商品やサービスを購入した際に、後日支払うことを約束した未払い代金
解説: 買掛金は、企業が商品やサービスを購入した際に、後日支払うことを約束した未払い代金です。通常、仕入れ先に対して負う短期的な負債です。
問題5:引当金
次のうち、長期性引当金に該当するものはどれか。
A. 短期性引当金
B. 返品調整引当金
C. 支払手形
D. 退職給付に係る負債
解答と解説
解答: D. 退職給付に係る負債
解説: 長期性引当金には、退職給付に係る負債などの1年を超える期間にわたって発生する負債が含まれます。短期性引当金や返品調整引当金は流動負債に該当します。
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