#09 証券外務員1種・2種試験対策 財務諸表と企業分析 キャッシュフロー
キャッシュフロー計算書の重要性
キャッシュフロー計算書は、一会計期間におけるキャッシュフローの状況を活動区分別に表示するもので、賃借対照表や損益計算書と同様に企業活動全体を対象とする重要な情報を提供します。企業の現金の流れを明確にすることで、財務の健全性や資金繰りの状況を把握することができます。
資金(キャッシュ)の範囲
キャッシュフロー計算書で示される資金(キャッシュ)は、現金および同等物を意味します。株式などの金融商品は資金の範囲に含まれません。
資金の表示区分
キャッシュフロー計算書では、資金の流れを以下の3つの活動区分に分けて表示します。
営業活動
営業活動によるキャッシュフローは、商品の仕入れ、支出、販売による収入などを示します。具体的には、企業の主要な営業活動から得られる現金の流れを表します。
投資活動
投資活動によるキャッシュフローは、固定資産の取得、支出、売却による収入などを示します。これは、企業が長期的な資産を購入または売却する際の現金の流れを表します。
財務活動
財務活動によるキャッシュフローは、借入金の返済による支出、借入金による収入などを示します。企業の資金調達や返済活動に関する現金の流れを表します。
景気の動向と収益率、配当性向・配当率
企業の収益率や配当性向、配当率は、景気の動向と密接に関連しています。
増収率と増益率
- 増収率:売上高の増減を示します。
- 増益率:経常利益の増減を示します。
配当性向
配当性向は、当期純利益に対する配当金の割合を示します。配当性向の計算式は以下の通りです。
配当性向(%)=配当金(年額)/当期純利益 × 100
不況期には配当性向が高く、好況期には低くなる傾向があります。
配当性向の意味
配当性向が低い場合、内部留保率が高くなります。これにより、将来の配当可能原資が確保されるため、企業の財務基盤が安定します。
配当率
配当率は、配当金の資本金に対する割合を示します。配当率の計算式は以下の通りです。
配当率(%)=配当金(年額)/資本金(期中平均) × 100
まとめ
キャッシュフロー計算書は、企業の資金の流れを把握するための重要なツールです。営業活動、投資活動、財務活動の区分ごとにキャッシュフローを分析することで、企業の財務状況や資金繰りの健全性を評価できます。また、配当性向や配当率を理解することで、企業の配当方針や財務戦略についても深く知ることができます。証券外務員として、これらの知識を基に顧客に対して適切なアドバイスを提供し、信頼関係を築いていきましょう。
問題1:キャッシュフロー計算書の役割
キャッシュフロー計算書が提供する主な情報は何か。
A. 企業の収益性
B. 企業の現金の流れ
C. 企業の純資産
D. 企業の負債
解答と解説
解答: B. 企業の現金の流れ
解説: キャッシュフロー計算書は、一会計期間における企業の現金の流れを示すものであり、営業活動、投資活動、財務活動の3つの区分に分けて表示します。
問題2:資金(キャッシュ)の範囲
キャッシュフロー計算書で示される資金(キャッシュ)の範囲に含まれないものはどれか。
A. 現金
B. 預金
C. 株式
D. 現金同等物
解答と解説
解答: C. 株式
解説: キャッシュフロー計算書で示される資金(キャッシュ)は、現金および現金同等物を意味し、株式は含まれません。
問題3:営業活動によるキャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローの具体例として適切なものはどれか。
A. 固定資産の取得
B. 借入金の返済
C. 商品の仕入れ
D. 株式の発行
解答と解説
解答: C. 商品の仕入れ
解説: 営業活動によるキャッシュフローは、商品の仕入れや販売による収入など、企業の主要な営業活動から得られる現金の流れを示します。
問題4:配当性向の意味
配当性向が低い場合の意味として正しいものはどれか。
A. 配当金の支払いが多い
B. 内部留保率が低い
C. 内部留保率が高い
D. 配当可能原資が不足している
解答と解説
解答: C. 内部留保率が高い
解説: 配当性向が低い場合、企業は利益の多くを内部留保として保持していることを意味し、将来の配当可能原資が確保されます。
問題5:配当性向の計算
配当性向を計算するための式として正しいものはどれか。
A. 配当金(年額)/資本金(期中平均) × 100
B. 配当金(年額)/当期純利益 × 100
C. 当期純利益/資本金(期中平均) × 100
D. 配当金(年額)/売上高 × 100
解答と解説
解答:B. 配当金(年額)/当期純利益 × 100
解説: 配当性向は、当期純利益に対する配当金の割合を示し、計算式は「配当金(年額)/当期純利益 × 100」です。
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