#12 証券外務員1種・2種試験対策 財務諸表と企業分析 安全性分析
安全性分析の重要性
安全性分析は、企業の資金繰りの健全度合いや債務不履行などによる倒産リスクの程度を評価するために行われます。企業の財務の健全性を把握し、長期的な視点での経営の安定性を評価するための重要な手段です。
流動性分析
流動性分析は、企業の返済能力を評価します。具体的には、1年以内に返済しなければならない流動負債に対して、現金化できる流動資産がどの程度あるかを示します。
流動比率
流動比率は、流動資産が流動負債に対してどの程度あるかを示す指標です。
- 流動比率(%)=流動資産/流動負債 × 100
通常、流動比率は200%以上が望ましいとされています。これにより、企業が短期的な負債を十分にカバーできるかどうかを判断します。
当座比率
当座比率は、流動資産の中でもすぐに現金化できる当座資産に焦点を当てて、支払能力を評価します。棚卸資産は生産販売活動を経て初めて資金化されるため、直ちに支払手段とはならない点に注意が必要です。
- 当座比率(%)=当座資産/流動負債 × 100
当座比率は100%以上が望ましいとされています。これにより、企業の即時の支払能力を評価します。
財務健全性分析
財務健全性分析は、企業が資金をどのように調達し、使い道が妥当かどうか、資本が健全であるかを評価します。
固定比率
固定比率は、固定資産が返済の必要のない自己資本で賄われているかどうかを示す指標です。
- 固定比率(%)=固定資産/自己資本 × 100
固定比率が低いほど、企業の財務構造は安定しています。
固定長期適合率
固定長期適合率は、固定資産の資金を自己資本に限定せず、短期的な返済の必要のない固定負債も含めて評価します。
- 固定長期適合率(%)=固定資産/(自己資本+非支配株主持分+固定負債)× 100
この指標は100%以下が望ましく、数値が低いほど良いとされています。
負債比率
負債比率は、自己資本に対して、負債の総額(流動負債+固定負債)がどの程度あるかを示す指標です。
- 負債比率(%)=(流動負債+固定負債)/自己資本 × 100
負債比率が100%以下であることが望ましく、低いほど財務の安全性が高いとされます。
自己資本比率
自己資本比率は、資本調達の構成を表す指標です。自己資本が高い企業は、不況に対する抵抗力が強く、長期的な健全な発展が期待できます。
- 自己資本比率(%)=自己資本/総資本 × 100
自己資本比率が高いほど、安全性が高いといえます。
まとめ
安全性分析は、企業の財務の健全性を評価するための重要な手段です。流動性分析では企業の返済能力を、財務健全性分析では企業の資本構成や資金調達の妥当性を評価します。これらの指標を用いることで、企業の財務状況を正確に把握し、長期的な経営の安定性を評価することが可能です。証券外務員として、この知識を基に顧客に対して適切なアドバイスを提供し、信頼関係を築いていきましょう。
問題1:流動性分析
流動比率の計算式として正しいものはどれか。
A. 流動負債/流動資産 × 100
B. 流動資産/流動負債 × 100
C. 当座資産/流動負債 × 100
D. 流動資産/当座資産 × 100
解答と解説
解答: B. 流動資産/流動負債 × 100
解説: 流動比率は、流動資産を流動負債で割ったもので、企業の短期的な返済能力を評価する指標です。通常、200%以上が望ましいとされています。
問題2:当座比率
当座比率の計算式として正しいものはどれか。
A. 当座資産/流動負債 × 100
B. 流動資産/流動負債 × 100
C. 流動資産/当座資産 × 100
D. 流動負債/当座資産 × 100
解答と解説
解答: A. 当座資産/流動負債 × 100
解説: 当座比率は、当座資産を流動負債で割ったもので、企業の即時の支払能力を評価する指標です。通常、100%以上が望ましいとされています。
問題3:財務健全性分析
固定比率の計算式として正しいものはどれか。
A. 固定資産/自己資本 × 100
B. 固定資産/総資本 × 100
C. 自己資本/固定資産 × 100
D. 固定資産/流動負債 × 100
解答と解説
解答: A. 固定資産/自己資本 × 100
解説: 固定比率は、固定資産が返済の必要のない自己資本で賄われているかどうかを示す指標です。
問題4:固定長期適合率
固定長期適合率の計算式として正しいものはどれか。
A. 固定資産/(自己資本+固定負債) × 100
B. 固定資産/(自己資本+非支配株主持分+固定負債) × 100
C. 固定資産/(流動資産+固定負債) × 100
D. 固定資産/(自己資本+流動負債) × 100
解答と解説
解答: B. 固定資産/(自己資本+非支配株主持分+固定負債) × 100
解説: 固定長期適合率は、固定資産が自己資本および非支配株主持分、固定負債で賄われているかどうかを示す指標で、100%以下が望ましいとされています。
問題5:自己資本比率
自己資本比率が高いことが示すものとして正しい記述はどれか。
A. 短期的な資金繰りが良好
B. 他人資本(負債)の割合が多い
C. 不況に対する抵抗力が強い
D. 収益性が低い
解答と解説
解答: C. 不況に対する抵抗力が強い
解説: 自己資本比率が高い企業は、不況に対する抵抗力が強く、長期的な健全な発展が期待できます。
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