#14 証券外務員1種・2種試験対策 財務諸表と企業分析 損益分岐点分析
損益分岐点分析とは
損益分岐点分析は、企業の売上高と費用が等しくなり、損益がゼロとなる時の売上高を求める手法です。この分析により、企業が利益を上げるために最低限必要な売上高を把握することができます。
損益分岐点の計算
損益分岐点を算出するためには、費用を固定費と変動費に区分する必要があります。
固定費
固定費とは、売上高の変動に関係なく一定で発生する費用のことです。例えば、家賃や人件費などが固定費に該当します。
変動費
変動費とは、売上高の変動に応じて増減する費用のことです。例えば、材料費や仕入れ費用などが変動費に該当します。
損益分岐点売上高の計算式
損益分岐点売上高は以下の計算式で求められます。
- 損益分岐点売上高=固定費/(1-変動費/売上高)
この計算式により、企業が損益分岐点を超えるために必要な売上高を求めることができます。
損益分岐点比率
損益分岐点比率は、損益分岐点売上高が売上高に対してどの程度の割合を占めるかを示す指標です。計算式は以下の通りです。
- 損益分岐点比率(%)=損益分岐点売上高/売上高×100
この比率が低いほど、企業は利益を上げやすい状態にあるといえます。
変動費率
変動費率は、変動費が売上高に対してどの程度の割合を占めるかを示す指標です。計算式は以下の通りです。
- 変動費率=変動費/売上高
変動費率が低いほど、売上高の増加に伴う利益が大きくなるため、企業の収益性が高いといえます。
限界利益率
限界利益率は、売上高から変動費を差し引いた額が売上高に対してどの程度の割合を占めるかを示す指標です。計算式は以下の通りです。
- 限界利益率=1-変動費率
限界利益率が高いほど、売上高の増加による利益の増加が大きくなります。
まとめ
損益分岐点分析は、企業が利益を上げるために必要な最低限の売上高を把握するための重要な手法です。固定費と変動費に区分し、損益分岐点売上高や損益分岐点比率、変動費率、限界利益率を計算することで、企業の収益構造を明確にし、経営戦略の立案に役立てることができます。証券外務員として、この知識を基に顧客に対して適切なアドバイスを提供し、信頼関係を築いていきましょう。
問題1:損益分岐点売上高の計算
次の条件をもとに、損益分岐点売上高を求めなさい。
固定費:500,000円
変動費:200,000円
売上高:1,000,000円
A. 500,000円/(1-200,000円/1,000,000円)
B. 500,000円/(1-1,000,000円/200,000円)
C. 1,000,000円/(1-500,000円/200,000円)
D. 200,000円/(1-500,000円/1,000,000円)
解答と解説
解答: A. 500,000円/(1-200,000円/1,000,000円)
解説: 損益分岐点売上高の計算式は「固定費/(1-変動費/売上高)」です。条件を代入すると、「500,000円/(1-200,000円/1,000,000円)」となります。
問題2:損益分岐点比率
次の条件をもとに、損益分岐点比率を求めなさい。
損益分岐点売上高:600,000円
売上高:1,200,000円
A. 600,000円/1,200,000円 × 100
B. 1,200,000円/600,000円 × 100
C. 600,000円/(1-1,200,000円) × 100
D. 1,200,000円/(1-600,000円) × 100
解答と解説
解答: A. 600,000円/1,200,000円 × 100
解説: 損益分岐点比率の計算式は「損益分岐点売上高/売上高 × 100」です。条件を代入すると、「600,000円/1,200,000円 × 100」となります。
問題3:変動費率
次の条件をもとに、変動費率を求めなさい。
変動費:300,000円
売上高:1,000,000円
A. 300,000円/1,000,000円
B. 1,000,000円/300,000円
C. 300,000円/(1-1,000,000円)
D. 1,000,000円/(1-300,000円)
解答と解説
解答: A. 300,000円/1,000,000円
解説: 変動費率の計算式は「変動費/売上高」です。条件を代入すると、「300,000円/1,000,000円」となります。
問題4:限界利益率
次の条件をもとに、限界利益率を求めなさい。
変動費率:0.4
A. 0.4
B. 1 – 0.4
C. 1 / 0.4
D. 0.4 / 1
解答と解説
解答: B. 1 – 0.4
解説: 限界利益率の計算式は「1 – 変動費率」です。条件を代入すると、「1 – 0.4」となります。
問題5:損益分岐点の意義
損益分岐点が示すものとして正しい記述はどれか。
A. 売上高と費用が等しくなり、損益がゼロとなる時の売上高
B. 売上高が最大になる時の売上高
C. 費用が最小になる時の売上高
D. 利益が最大になる時の売上高
解答と解説
解答: A. 売上高と費用が等しくなり、損益がゼロとなる時の売上高
解説: 損益分岐点は、売上高と費用が等しくなり、損益がゼロとなる時の売上高を示します。これにより、企業が利益を上げるために必要な最低限の売上高を把握することができます。
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