#31 証券外務員1種・2種試験対策: 債券の売買・取引手法
債券の売買には様々な手法があり、それぞれに適した戦略があります。ここでは、主な売買手法とその特徴、ならびに特定の取引方法について解説します。
売切り・買切り
「売切り・買切り」とは、特定の債券を一度に売却または購入する取引のことを指します。
入替売買
入替売買は、同時に債券を売却し、別の債券を購入する取引です。入替売買には以下のような種類があります:
- 市場観に基づく入替
- 金利低下が予測される場合:短中期債から価格変動性の大きい中長期債に入替えると有利です。
- 金利上昇が予測される場合:短期債に入替えることで、価格変動リスクが小さくなります。
- 流動性アップ入替
- 流動性の高い国債などの銘柄で、価格変動リスクの小さい短期債に入替えます。
- 直利アップ入替
- より高いクーポンレートの債券に入替えます。
- 最終利回りアップ入替
- できるだけ利回りの高い長期債に入替えます。
- 利回り軟差運用
- クーポンの高低、期間の長短、上場・非上場の条件の相違によって発生する利回りスプレッドの変動を機敏に捉えて売買を行います。
固定ポートフォリオ運用
固定ポートフォリオ運用は、機械的に入替売買を行い、償還期限のバランスを常に一定に保つ方法です。主に以下の2つの形態があります:
- ラダー型
- ダンベル型
現先取引(債券等の条件付売買取引)
現先取引は、債券等の条件付き売買取引の一種で、同種同量の債券を所定期日に所定価格で反対売買する取引です。
- 買い現先:売戻しを付けての買付け
- 売り現先:買戻しを付けての売却
現先取引には、以下の2つの形態があります:
- 委託現先:売方と買方の仲介を金融商品取引業者が行います。
- 自己現先:金融商品取引業者自身が売方もしくは買方となって売買を行います。
- 買方:資金運用のため債券を購入し利子を受け取ります。
- 売方:資金調達のため債券を一時的に売却します。
着地取引
着地取引は、一定の条件であらかじめ債券の受け渡しを取り決めて行う売買取引です。
- 現先取引:あらかじめ基本契約書を作成し、期間制限はありません。
- 着地取引:取引ごとに契約書を作成し、約定から受渡日までの期間が1ヶ月以上6ヶ月を超えないものです。
債券賃借取引
債券賃借取引は、主に金融機関同士の取引が中心で、債券の空売りを行うための取引です。
まとめ
債券の売買には様々な手法があり、それぞれの状況に応じて最適な戦略を選択することが重要です。証券外務員として、これらの取引手法を理解し、適切に活用することで、効果的な債券運用が可能となります。
以下に、上記ブログ内容に基づいた問題とその回答を提示します。これらの問題を解くことで、知識の定着を図りましょう。
問題1:入替売買
次のうち、市場観に基づく入替売買の方法として正しいものはどれか。
A. 金利低下が予測される場合、短中期から中長期債に入替える
B. 金利低下が予測される場合、長期債から短期債に入替える
C. 金利上昇が予測される場合、長期債から中長期債に入替える
D. 金利上昇が予測される場合、中長期債から短期債に入替える
解答と解説
解答: A. 金利低下が予測される場合、短中期から中長期債に入替える
解説: 市場観に基づく入替では、金利低下が予測される場合、価格変動性の大きい中長期債に入替えることで、金利低下の恩恵を受けることができます。
問題2:現先取引
現先取引に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A. 売戻しを付けての買付けを売り現先という
B. 現先取引はつど契約書を作成し、期間制限がある
C. 委託現先では金融商品取引業者が売方と買方の仲介を行う
D. 自己現先では金融商品取引業者が売方または買方の仲介を行う
解答と解説
解答: C. 委託現先では金融商品取引業者が売方と買方の仲介を行う
解説: 委託現先取引では、金融商品取引業者が売方と買方の仲介を行います。一方、自己現先取引では、金融商品取引業者が自身で売方または買方となります。
問題3:債券の空売り
次のうち、債券の空売りに関する正しい記述はどれか。
A. 債券の空売りは個人投資家が中心である
B. 債券の空売りは金融機関同士の取引が中心である
C. 債券の空売りは証券会社が直接行う
D. 債券の空売りは市場を安定させるために行う
解答と解説
解答: B. 債券の空売りは金融機関同士の取引が中心である
解説: 債券の空売りは主に金融機関同士の取引が中心となって行われます。
問題4:固定ポートフォリオ運用
次のうち、固定ポートフォリオ運用に該当するものはどれか。
A. 利回りのスプレッドの変動を捉えて売買を行う
B. クーポンの高低を基準に売買を行う
C. 機械的に入替売買を行い、償還期限バランスを一定に保つ
D. 債券の流動性を基準に売買を行う
解答と解説
解答: C. 機械的に入替売買を行い、償還期限バランスを一定に保つ
解説: 固定ポートフォリオ運用は、機械的に入替売買を行い、償還期限のバランスを常に一定に保つ方法です。
問題5:着地取引
着地取引に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A. 現先取引と同様にあらかじめ基本契約書を作成する必要がある
B. 着地取引の期間は約定から受渡日まで1ヶ月以上6ヶ月を超えない
C. 着地取引では受渡日が自由に設定できる
D. 着地取引は金融機関同士の取引が中心である
解答と解説
解答: B. 着地取引の期間は約定から受渡日まで1ヶ月以上6ヶ月を超えない
解説: 着地取引では、取引ごとに契約書を作成し、約定から受渡日までの期間が1ヶ月以上6ヶ月を超えないものとされています。
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